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  • Masa ISHII

5G、B5Gネットワークシステム <第3回>5G仮想化技術 米国の5G事情

●期待される仮想化技術と5Gコア

今後、国内キャリアも導入を始めると思われる5G SA(スタンドアロン)により、5Gモバイルネットワークは格段の進化を遂げるであろう。提供者が受ける5Gコアの最大の恩恵は、仮想化技術とネットワークスライシング機能だろう。5Gには非常に柔軟性の高いネットワークを維持制御する為にネットワークの仮想化技術としてSDNが使われる。SDNでは単一のソフトウェア・ベースのコントローラーに制御機能を集約し、ルーターとスイッチは転送処理のみを担うことで、通信構成最適化のコストを削減することが可能である。

通常の伝送ネットワークは、データ転送とネットワーク制御を担う専用のルーターとスイッチで構成される。しかし、 SDNコントローラーはネットワークの大部分を監視できるため、パケットの最適な経路を容易に検出することが可能となる。ルーターやスイッチで限られた範囲のネットワークだけを見て経路を決定していた従来型のルーティングに比べると、SDNは優れた最適化機能を備えている。SDNを使うにあたってはNFV(Network Functions Virtualization)により仮想化された基盤が重要な役割を果たす。

ネットワークスライシングは、ネットワークを仮想化し、ネットワークリソースを分割して、用途や通信の特徴に応じた、ネットワーク資源を賢く使い分ける技術と考えていい。 5Gでは4Gとは異なりスマホ以外のIoTデバイスに多数接続されることが予想されている。しかし、これらのデバイスは用途やサービスによって通信要件が異なる為、それぞれの通信要求を統合して実現するための統合通信監理機能が必要となる。ネットワークスライシング技術はネットワークを仮想的に分離し、サービスやデバイスに合わせたネットワークサービスを提供できる。例えば超低遅延が必要となるデバイスに対しては、超低遅延を実現する専用のネットワークとして接続させ、センサー等のIoT系のデバイスで通信量が小さく頻度が低いデバイスに関してはIoT専用のネットワークとしたりすることが、同一のネットワーク上可能となる。

出典:AZCA

4Gネットワークでもこの機能が採用されたが制限があった。5Gではあらかじめ5G標準に当技術の規定が盛り込まれている為、多数のスライスネットワークが可能となる。用途に合わせて最適な性能・機能を備えるネットワークが使えるようになれば5Gの特徴を各産業で活かしやすくなり、例えばクラウドやVRゲーム等の商用サービス開発も更に活性化すると期待される。

5GSAを導入することにより、多くの機器を5Gコアへ接続することが可能となる。5GコアのアーキテクチャではNEF(Network Exposure Function)と呼ばれるノードが追加され、これによってこれまでの無線では得られなかった、各移動体の位置情報や認証情報を外部の企業に提供することが可能となる。 5Gの接続情報やネットワークの状態変化等をアプリ側で詳細に把握できるようになるほか、外部アプリからNFの制御も可能になる。5Gネットワーク上で簡易に「5Gコネクティッド」アプリ/サービス開発を促進するための新たな仕掛けである。

●米国の5G状況・・5Gサービスに「高速サービス」と「(低速)5Gサービス」の2つ

弊社AZCA,Inc.のヘッドがある米国では2019年には固定5Gサービスを展開している。主にビジネス向けである。2020年になって大手3社が相次いでモバイルサービスに参入してきているが、普及は遅い。米国の特長は5Gサービスに「高速サービス」と「(低速)5Gサービス」の2つがあることだ。

  1. AT&Tは2021年5月には14.000の地域で5Gサービスを月額60US$~にて提供、38の地域でミリ波を活用した「5Gプラス」という高速サービスを月額75US$~にて提供している。

  2. ベライゾンは同時期には2億3000万人口をカバーする“5G HOME”と呼ばれる5Gネットワーク、及び73地域にて”ウルトラワイドバンド“と呼ばれる高速サービスを構築している。月額80US$からであるが、3キャリアの中では最速の1.8Gを出しているとされる。

  3. T-モバイル&スプリントは最も5G利用者が多いとされ、600Mhzにて2億8000万人をカバーする5Gネットワークと6地域程度でミリ波を活用した高速サービスを提供している。5G基本モデルは月額60US$~にて提供。低価格で好評な“T-Mobile Connect”サービスは、無制限通話に加えて、全国5Gネットワークへのアクセスを含む2GBまでの高速データ利用で月額15US$~にて提供している。[3][4]同社は2024年までに最大4Gbpsの高速化を目指すとしている。[5]

また、米国では5G機器のサプライチェーンにおいてオープン化を進めている点も注目される。米国のO-RAN Allianceは「Open RAN」を目指したコンソーシアムであり、強い影響力を持つようになっている。「Open RAN(O-RAN)」とは、「オープンインタフェース仕様に基づいて構築する、機能を分離したRAN(無線アクセスネットワーク)」といえる。オープンインタフェースと仮想化技術による標準仕様に基づいて、交換機などの専用機ではなくサーバーなどのベンダー中立なハードウエアとソフトウエアの技術を用いて5Gを実装できることを目指している。これにより価格的に優位であったファーウエー社の機器に制約されなくても米国企業のサーバー機器を用いることで産業の活性化とシステムの安全保障性の確保を達成することが狙いである。[6](第4回に続く)

(AZCA, Inc. 奥村文隆/パートナー、東京代表)


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