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  • Masa ISHII

5G+クラウドから6G クラウドネイティブ・ネットワークファンクション:CNF開発が進む米国(5)

第5回:米国5Gのキラーアプリは5G+エッジクラウド。マイクロソフトがAT&T買収も

5Gのメリットは、電波利用の効率の向上や体感速度の向上など多岐にわたる。しかし、5Gの真のメリットは5GC(コア)システムを活用した、これまでにない新たなサービスやビジネスを比較的容易に展開できることだ。そして最も有望だと思われるものが急伸する5G+クラウドだ。

我が国はこれまで5Gの活躍の場を象徴的に「IoT」と想定してきた。しかし米国では、AWS、マイクロソフト、米Googleといった大手クラウドサービス企業を中心に「5G+クラウド」「クラウドネイティブ」への戦略転換が加速しており、ほぼ毎週のように関連ニュースが飛び交っている。今日、米国のデジタルサービス、例えばNETFLIX等の映像配信やTikTok等のSNS、オンラインゲームもクラウドを利用したものが大半である。クラウドデータを利用することで新たなDXサービスも展開可能である。このような5Gオリエンテッドのサービスをここでは「5G+クラウド」サービスと呼んでいる。

技術方式としてはMECが代表される。MEC(マルチエッジコンピューティング)によるリアルタイム通信の強化がクラウドの利用を促進している。自動運転などの社会変革を加速する期待がある。

例を挙げれば、2021年12月、VerizonとGoogleが共同で、「Hyperscalers in 5G & EDGEサービス」を開発する。Verizonの高速5Gエッジネットワークを利用し、5Gサービスとストレージサービスをパブリッククラウドにて一体で提供するものだ。これはシステムに需要が追加されたときに適切に資源スケーリングするテクノロジーアーキテクチャの機能を兼ねそなえ、大規模な分散コンピューティングネットワークを構成するために必要な概念である。コンピューティングとストレージ資産をローカルネットワークのエッジに設置し、自律移動ロボットやAIサプライチェーン、DXによるインテリジェントファクトリーやe-Sportsといった顧客ニーズに低遅延でのリアルタイム運用を実現できるのだ。

2021年7月、通信業界を驚かせるニュースが流れた。マイクロソフトがAT&Tの5Gネットワーククラウドプラットフォームを買収した。 AT&Tは、2018年から5Gのコアネットワークを運用しており、マイクロソフトは、キャリア品質のネットワーククラウドプラットフォームをAzure for Operatorsに組みいれた。 AT&Tも、Azureのハイパースケーリング機能を最大限に活用することでサービスを差別化することを狙い、マイクロソフトを5G+クラウドプロバイダーとして選んだことになる。

5Gは既にVerizon等のキャリアの競争領域ではなくハイパースケールデータセンターを運営するクラウド大手アマゾン・コム、マイクロソフト, Google等をHyper Scalersと呼ぶが、彼らの「急成長する競争領域である。

彼らは軒並み2022年2月に4半期での最高益を発表した。そして、彼らの利益の源泉となったのがクラウドサービスである。

アマゾン・コムが2月3日に発表した2021年10~12月期決算は、売上高が前年同期比9%増の1374億ドル(約16兆円)、最終利益は約2倍の143億ドル(約1兆6千億円)となり、いずれも過去最高を更新した。利益のほぼ全てを稼ぐパブリッククラウドサービス「AWS」は、世界的なリモート勤務の拡大を背景に40%増の177億ドルに拡大している。

マイクロソフトの2021年4~6月期決算は、最終利益が前年同期比47%増の164億ドル(約1兆8千億円)と、過去最高を更新した。売上高も過去最高の、21%増の461億ドル(約5兆1千億円)を記録した。牽引役はここでもパブリッククラウドサービス「Azure」である。売上高は50%増の195億ドルと売上高の42%となっている。ナデラCEOはAWSが大きく成長しているクラウド市場でより高く顧客ニーズに対応できた」としている。同社の株価はこの1年で約30%高くなっている。

米Googleの持ち株会社アルファベットの2021年10~12月期決算は、最終利益が前年同期比36%増の206億ドル(約2兆4千億円)となり、四半期ベースで過去最高を更新した。売上高も32%増の753億ドルで過去最高だった。検索広告に次ぐ収益の柱にすることを目指しているパブリッククラウドコンピューティング事業は、前年同期比45%増の55億4100万ドルになった。同社の株価はこの1年で約40%高くなっている。パブリッククラウド事業が各社の成長・利益の源泉となっていることだ。

5GをIoTや自動運転、自動工場などのM2M(マシン‐マシン通信)のデジタル基盤とする想定から進展が見られない日本には、いまだにパブリッククラウドを巻き込んだ大手5Gサービスがほとんど存在しない周回遅れになることを危惧している。(第6回に続く)

(AZCA, Inc. 奥村文隆/パートナー、東京代表)

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