第6回:米国 6Gは無線ネットワークのクラウドネイティブ化

「5G+クラウド」は デジタルツイン技術やARVR技術を用いた仮想空間サービスの総称である「メタバース」を実現するものでもあるし、コンマ0秒の低遅延での操作プレイを競う5Gゲームとして期待の高いe-sportsをさらに高度化するものである。これらは情報化社会を抜本的に改革していくものである。

さらに5G自体も6Gの実現に向けて仮想化技術開発を進め、「クラウドネイティブ化」の技術開発を進めている。これはクラウドの特性を活かしたマイクロシステムアーキテクチャー上のより効率的なソフトウエア開発環境といえ、「5G+クラウド」の進化した実装方式である。

米国で6Gのビジョンを描いているのは標準化団体ATIS( The Alliance for Telecommunications Industry Solutions )が主催する NEXT G Allianceである。

先日公開された、米国6Gの方向性を示していると想定される白書「Next GA -Roadmap」では開発方針としてSuper eMBB (高速多接続)、クラウドネイティブ、AIネイティブ(高度自立性)、そして持続可能性(Sustainability)が明記される。

クラウドネイティブの節を引用すると「3.5 ( Cloud native )Distributed Cloud and Communications Systems One of the major drivers in network evolution is to merge mobile and cloud systems. Future systems will be built on cloud and virtualization technologies. This enables separation of hardware and software and increased flexibility, performance, service capabilities, resiliency, and productivity. 6G systems will feature cloud-native capabilities that rely on cloud technologies. (略)」となっている。

注目すべきは「major drivers in network evolution is to merge mobile and cloud system」という点であり、将来はクラウドとモバイルシステムが一体化するという方針を示していると思われる。クラウドネイティブ化によるモバイルシステムの仮想化をCNF(Cloud native Network Function)と呼んでいる。インタネットの進化の波が漸く通信システムに及び始めたことは疑いないところである。

Hyper Scalersの5Gエッジコンピューティングは急速に進化している。日本企業はこれらの動きに鈍感すぎる。我が国企業が5G・6G事業に出遅れないためにも急展開するCNF開発を注視頂きたい。(最終回)

(AZCA, Inc. 奥村文隆/パートナー、東京代表)